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神話企業の後継者は、このようにカリスマ創業者が存命中はその意向のままに選ばれていく。
いかに「潔い引退」と調われたHにせよ、決して例外ではありえなかった。
副社長のYから「余り目立ったことをするな」と注意され、暗に辞退を促されたことがあった。
本社の意向に従って辞退するのは簡単だが、そんなことをすれば今度は地元と角が立つ。
帰国して初めてYが注意した意味が分かった。
全員がSに気を使っているのである。
「Hにはヒーローは、S一人しか必要ない」社内にはこうした空気が蔓延していた。
(「H神話」)当時、H社内では、N氏がアメリカ人にオハイオエ場を積極的に公開することにも批判が強まっていた。
N氏は自分の評判を高めるためにHのノウハウをビッグスリーに垂れ流しにしているというのである。
すべては妬みであった。
Sはかつて求人広告に「出る杭を求む!」というヘッドラインをつけたことがあるが、当時のHは、出る杭は打たれるという普通の日本型企業に堕ちていたのである。
Sの消去法社長人事Sの場合はどうだったか。
O氏の長期政権で飛躍していた時代にあっても、M氏はSグループに君臨する総帥であり続けた。
こちらの方はO氏の後継人事について、候補者は1人に絞られていた。
M稔氏である。
社内外でほぼ間違いないとみなされていた。
問題にされたのは、その就任時期だけである。
しかし、1995年、O氏が社長を退任する時の記者会見は報道関係者を驚かせた。
最初にIN氏が顔を見せたときには、誰も違和感を持たなかった。
広報担当常務としてこの場を取り仕切るのは当然に思えたからである。
しかし、やがてO氏が姿を現わし、I氏と並んで席に着いた頃から空気が奇妙に変化し始めた。
「後任者」がいっこうに姿を見せなかったからである。
まさか!と記者達が思った瞬間、O氏は次期社長としてIN氏を紹介し始めたのである。
なぜI氏が選ばれたのかは分からない。
O氏はしきりに、消去法で選んだ結果であると言うだけだった。
Hと違ったのは、このときM氏は脳溢血で倒れ、自分の意向で後任者を選ぶことができなくなっていたことである。
O氏は、完全に自分の意思で社長人事を行うことができた。
むろん、その責任もO氏が負わねばならない。
SがHのようなメンタリティの会社なら、O氏にしたところで、M氏の意向を汲んで人ベータ敗北のリベンジM氏にとって、M氏の功績は特別のものがあった。
Sの完敗に終わったビデオ規格争いの復讐戦である。
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